2024.03.13
陸屋根の防水工事費用相場はいくら?種類ごとの単価や価格を抑える方法を解説
雨風に直接さらされる陸屋根は、雨漏りのリスクが高く、定期的な防水工事が必要です。
しかし、「費用がどのくらいかかるか分からない」「業者選びに迷う」といった理由で、防水工事を先延ばしにしている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、陸屋根の防水工事費用について、具体的な数字を交えて詳しく解説します。
さらに、費用を抑えるコツや、業者選びの注意点についてもご紹介します。
雨漏り被害を防ぎ、建物を長持ちさせるための、参考になれば幸いです。
大規模修繕や防水工事のご相談は実績豊富な新東亜工業へ
陸屋根の特徴
陸屋根とは、勾配がほとんどなく平らな形状をした屋根のことを指します。
近年、デザイン性の高い住宅が増えていることから、陸屋根を採用するケースも増えてきています。
陸屋根は、屋上として活用できる、メンテナンスがしやすいなどのメリットがあります。
一方、雨漏りしやすい、夏場は暑いなどのデメリットもあります。
陸屋根を採用する際には、メリットだけでなくデメリットも理解した上で、適切な対策を講じることが大切です。
陸屋根防水工事のタイミングと見分け方
陸屋根は、定期的な防水工事が必要です。
適切なタイミングで防水工事を行うことで、雨漏り被害を防ぎ、建物を長持ちさせることができます。
防水工事を行うタイミングは、以下のとおりです。
- 雨漏り
- ひび割れ
- コケや藻の発生
- 塗膜の劣化
- 10年以上経過
雨漏り
雨漏りは、防水工事が必要な最も分かりやすいサインです。
天井や壁にシミやカビが発生したり、水が滴り落ちたりしている場合は、雨漏りの可能性があります。
雨漏りが発生したら、すぐに業者へ依頼し、早急な対処が必要です。
ひび割れ
防水層にひび割れが発生すると、そこから水が浸入し、雨漏りにつながります。
特に、屋根の継ぎ目、排水口周辺、エアコンの室外機周辺は、ひび割れが発生しやすいので注意が必要です。
ひび割れの程度や大きさによっては、雨漏りに繋がる可能性があるため、不安な方は業者に点検してもらいましょう。
コケや藻の発生
コケや藻は、湿度の高い場所に発生しやすいです。
陸屋根は、雨水が溜まりやすく、湿度が高いため、コケや藻が発生しやすい環境と言えます。
コケや藻が発生すると、防水層を劣化させ、雨漏りの原因となることがあります。
コケや藻が発生している箇所は、早めに清掃を行いましょう。
塗膜の劣化
防水層の劣化の中でも、塗膜の劣化は最も一般的なものです。
塗膜が劣化すると、防水性が低下し、雨漏りの原因となります。
塗膜の劣化は、紫外線、風雨、温度変化、経年劣化などが原因で起こります。
塗膜の劣化を見分けるには、以下の点に注意しましょう。
- 色あせ
- チョーキング現象
- ひび割れ
- 剥がれ
- 膨れ
これらの症状を発見したら、専門業者に点検を依頼しましょう。
10年以上経過
陸屋根の防水工事は、一般的に10年に1回のペースで行うのがおすすめです。
陸屋根は、定期的な防水工事によって、雨漏り被害を防ぎ、建物を長持ちさせることができます。
築年数が10年以上経過している場合は、たとえ症状がなくても、一度専門業者に調査を依頼してみましょう。
陸屋根の防水工事の種類と費用相場
陸屋根の防水工事には、さまざまな種類があります。
以下に、代表的な防水工事の種類と費用相場を紹介します。
防水工事の種類 | 費用相場 | 耐用年数 |
---|---|---|
ウレタン防水 | 約4,000〜7,000円 | 8〜10年 |
FRP防水 | 約6,000〜8,000円 | 10〜15年 |
アスファルト防水 | 約5,500〜8,000円 | 15〜25年 |
シート防水 | 約5,000〜7,000円 | 10〜12年 |
ウレタン防水
ウレタン防水とは、液体状のウレタン樹脂を複数回塗布し、化学反応で硬化させて防水層を作る工法です。
ウレタン防水には、以下の2種類の工法があります。
- 密着工法:下地にプライマーを塗布し、ウレタン樹脂を塗布します。下地と防水層が密着するため、高い防水性能を発揮します。
- 通気緩衝工法:下地にシートを敷き、その上にウレタン樹脂を塗布します。シートが空気層を形成するため、下地の動きによる防水層の破断を防ぎます。
ウレタン防水の詳細を以下にまとめました。
- 複雑な形状の場所にも施工できる
- 継ぎ目のない防水層が形成できる
- 既存防水層を選ばず重ねて施工できる
- 施工費用が比較的安く、工期が短い
- 完成度が職人の技術に依存する
- 施工不良によって膨れが発生することがある
- 紫外線に弱い
工期:3〜10日程度
工法:密着工法 / 通気緩衝工法
FRP防水
FRP防水とは、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)製のシートを貼り付けて防水層を作る工法です。
FRP防水は、耐久性や防水性に優れ、軽量で施工がしやすいのがメリットです。
一方、費用が高く、下地処理やトップコートの塗り替えなど、定期的なメンテナンスが必要となります。
FRP防水の詳細を以下にまとめました。
- 耐久性に優れている
- 防水性が高い
- 硬化にかかる時間が短いので、工期も短い
- 素材が軽量で、建物への負担が少ない
- 伸縮性が少なく、ひび割れが起こりやすい
- 施工場所を選ぶ(10㎡以上の広い木造には施工不可)
工期:1〜2日程度
アスファルト防水
アスファルト防水は、陸屋根の防水工事で最も一般的な工法の一つです。
アスファルト防水材を用いて防水層を形成することで、雨水の浸入を防ぎます。
アスファルト防水の工法は、熱工法、常温工法、トーチ工法の3つに分類されます。
- 熱工法:アスファルト防水材を高温で溶かして、下地に貼り付ける防水工法
- 常温工法:溶剤を混ぜてアスファルト防水材を液体状にし、下地に塗布する防水工法
- トーチ工法:アスファルト防水シートの裏面にアスファルトをコーティングし、トーチバーナーと呼ばれるバーナーで加熱しながら貼り付ける防水工法
アスファルト防水材は、高い防水性と優れた耐久性を誇ります。
100年以上の長い歴史を持つ工法であり、施工実績は豊富です。
熱工法を使用する場合は、アスファルト防水材を溶かす際に臭いが発生し、火を使うため火災リスクがあります。
また、アスファルト防水材は、石油系素材で作られているため、環境に負荷がかかります。
アスファルト防水の詳細を以下にまとめました。
- 耐久性に優れている
- 防水性能が高い
- 耐用年数が長く、防水工事の回数を減らせる
- 施工費用が高額
- 工法によっては、施工中に煙や臭いが発生する
- 重量があり建物への負担が大きい
工期:3週間程度
工法:常温工法 / 熱工法 / トーチ工法
シート防水
シート防水は、既存の防水層の上にゴムシートや塩化ビニールシートを貼り付ける、屋上(陸屋根)に多く用いられる防水工事です。
広い屋上に施工する場合、費用対効果が良く、比較的長持ちするためメンテナンスが少なくて済むというメリットがあります。
一方、施工が難しいため専門業者が少ない、バルコニーなど狭い場所には施工しにくいなどのデメリットがあります。
シート防水の工法は、機械式固定工法と密着工法の2つに分類されます。
- 機械式固定工法:金属製の器具を使ってシートを固定する防水工法
- 密着工法:シートを下地に直接接着させる防水工法
シート防水の詳細を以下にまとめました。
- シートを貼る工事なので、完成度に差が出ない
- 熱や紫外線に強い
- 既存防水層の種類を選ばず施工可能
- 色やデザインが豊富
- 複雑な形状の場所には施工できない
- シートの継ぎ目が劣化しやすい
工期:1〜5日程度
工法:接着工法 / 機械的固定工法
陸屋根の防水工事の諸経費
陸屋根の防水工事には、材料費や人件費以外にも、諸経費と呼ばれるさまざまな費用が含まれます。
諸経費の内訳は、以下のとおりです。
作業内容 | 費用相場 |
---|---|
高圧洗浄 | 約200〜500円/㎡ |
下地処理(ケレンや清掃) | 約100〜300円/㎡ |
下地補修 | 約1,000〜2,000円/㎡ |
改修用ドレン設置 | 約13,000〜20,000円/箇所 |
処分費 | 約10,000〜30,000円/式 |
管理費 | 工事費用の5〜20% |
諸経費は、業者によって内容や費用が異なる場合があります。
見積もりを取る際には、必ず諸経費の内容を確認するようにしましょう。
陸屋根の防水工事費用を抑えるコツ
陸屋根の防水工事費用を抑えるには、いくつかのコツがあります。
コツを覚えておくと、費用を抑えながら防水工事ができるのでおすすめです。
- 複数の業者から見積もりを取る
- 補助金・助成金を活用する
- 火災保険を適用する
- 防水工事の依頼時期を選ぶ
複数の業者から見積もりを取る
複数の業者から見積もりを取ることで、費用を比較検討することができます。
少なくとも3社以上の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
見積もり内容を詳細に確認し、不明点は必ず質問しましょう。
補助金・助成金を活用する
国や自治体では、老朽化した建物の改修を促進するため、防水工事費用の一部を補助する制度があります。
ただし、補助金・助成金には、申請期限や条件があり、必ずしも全ての工事が対象となるわけではありません。
詳しくは、自治体の担当窓口やホームページで確認しましょう。
火災保険を適用する
火災保険には、風災や雪災による雨漏りに対する補償が含まれている場合があります。
もし、過去に風災や雪災で雨漏り被害を受け、修理費用を火災保険で請求したことがある場合、保険金を使って防水工事を行うことが可能です。
火災保険を活用する際は、必ず事前に保険会社に確認し、保険金請求に必要な書類を準備しましょう。
また、工事業者は保険会社指定業者を選ぶことが重要です。
防水工事の依頼時期を選ぶ
防水工事は、雨漏りのリスクが高まる梅雨時期や台風シーズン前に需要が高まります。
そのため、これらの時期は業者も忙しく、費用も高くなる傾向があります。
一方、冬は比較的閑散期であり、費用を抑えやすい時期です。
ただし、冬は天候が悪く、施工が難しい場合もあります。
費用を抑えたいなら12月~2月、工期も重視したいなら3月~4月、9月~10月がおすすめです。
陸屋根の防水工事はDIYでできる?
結論から言うと、陸屋根の防水工事はDIYで可能ですが、専門知識や技術が必要であり、あまりおすすめはできません。
DIYで防水工事を行った場合、業者に依頼するよりも費用を抑えられます。
しかし、防水性能が十分に発揮されない可能性があり、雨漏りなどのトラブルが発生した場合、自分で修理する必要があります。
陸屋根の防水工事は、高所での作業が必要で、危険を伴うため注意が必要です。
防水工事業者選びのポイント
優良な防水工事の業者を選ぶポイントは3つです。
- 複数社から見積もりを取る
- 施工実績を確認する
- 保証内容を確認する
複数社から見積もりを取る
複数の業者から見積もりを取ることで、費用を抑え、信頼できる業者を選ぶことができます。
見積もりを取るメリットは、以下のとおりです。
- 費用相場を把握できる
- 業者ごとのサービス内容を比較できる
- 信頼できる業者を選ぶことができる
また、見積もりを取る際の注意点は、同じ項目で見積もりを取ることが重要です。
見積もり内容を詳細に確認し、分からない点は遠慮なく業者へ質問しましょう。
契約前に、内容をしっかりと確認することが必要です。
施工実績を確認する
防水工事業者を選ぶ際には、必ず施工実績を確認しましょう。
施工実績を確認するポイントは、以下のとおりです。
- 過去にどのような防水工事を行ってきたのか
- どのくらいの規模の工事を請け負ってきたのか
- 同じような建物の防水工事を行った経験があるか
以上の実績を確認することで、業者の経験や技術力を判断することができます。
施工実績を確認する方法は、業者のホームページやパンフレット、見積書など、さまざまな方法があります。
また、実際に施工した建物を見学させてもらうのも有効な手段です。
保証内容を確認する
防水工事は、建物の寿命を延ばすために重要な工事です。
しかし、施工不良によって雨漏りなどのトラブルが発生することもあります。
そのため、防水工事業者を選ぶ際には、保証内容をしっかりと確認することが大切です。
確認すべきポイントは、保証期間、保証内容、免責事項などがあります。
保証期間は、一般的に5~10年程度で、長ければ長いほど安心できますが、その分費用も高くなります。
保証内容は、雨漏りに対する保証だけでなく、施工不良に対する保証があるかが重要です。
最後に免責事項について、地震や台風などの自然災害による損害は、保証対象外となる場合があるので注意しましょう。
陸屋根の防水効果を長持ちさせるポイント
陸屋根は、一般的な屋根と比べて雨水が溜まりやすいため、防水効果を長持ちさせるためには定期的なメンテナンスが重要です。
以下に、陸屋根の防水効果を長持ちさせるポイントを紹介します。
- 定期的な点検(年2回程度)
- 排水口の清掃
- トップコートの塗り替え(5~10年ごと)
定期的な点検(年2回程度)
陸屋根の点検は、春と秋の年2回程度、専門業者に依頼するのがおすすめです。
点検する箇所は、排水口の詰まりやゴミの堆積、防水層のひび割れ、膨れ、コーキングの劣化、雨漏りの跡がメインとなります。
目視または、ドローンや赤外線カメラを使用して点検します。
排水口の清掃
陸屋根は、雨水が流れにくい構造のため、排水口の清掃が特に重要です。
排水口が詰まると、雨水が溜まり、防水層を劣化させ、漏水などの原因となります。
清掃に高圧洗浄機を使用する場合は、水圧を調整しながら、排水管を傷つけないように注意してください。
トップコートの塗り替え(5~10年ごと)
陸屋根の防水層を守るためには、定期的にトップコートの塗り替えが重要です。
トップコートは、紫外線や風雨による防水層の劣化を防ぎ、防水効果を長持ちさせる効果があります。
トップコートの塗り替え時期は、5~10年ごとが目安です。
ただし、雨漏り、防水層のひび割れ、剥がれ、色あせなどが見つかった場合は、早めに塗り替えを検討する必要があります。
防水工事での助成金や補助金について【屋根防水や屋上防水】
大規模修繕に関わらず屋根防水、屋上防水などは場合によって多くの資金が必要になります。
そんな時に活用できるのが助成金や補助金です。各地方自治体では修繕工事や外壁塗装などにおいて補助金などを用意している場合があります。
防水工事の場合リフォーム補助金や住宅改修工事における助成金などがあり、該当する場合には防水工事の補助金を受けることが可能です。
以下の内容が基本的な補助金申請時の条件です。
- 補助金申請できる地域に住んでいる
- 以前同じ補助金や助成金を受け取っていない
- 税金を滞納していない
- 省エネに関するものや耐震補強など、その地方自治体の目的にあった工事であること
詳しくはお住まいの各自治体のホームページ、または問い合わせをして確認してみましょう。
防水工事に関してのよくある質問を紹介
ここでは防水工事に関してよくある質問を紹介していきます。
Q
防水工事前に何か準備は必要ですか?
A
防水工事前には、施工箇所の周りを整理し、私物や家具などは移動が必要になります。また、工事中の騒音や振動について、事前に確認しておきその時間帯の過ごし方などを決めておくとスムーズに対応できます。
Q
防水工事を行う周期はどのくらいですか?
A
一般的に、防水工事は10年から15年ごとに行うのが目安です。定期的な点検を行い、劣化が見られる場合は早めに工事を実施すると、建物の寿命を延ばすことができます。
Q
雨天時も防水工事は行いますか?
A
防水工事は晴天時に行うのが基本です。雨天時に施工すると、乾燥が不十分になり、防水効果が落ちることがあります。そのため、天気を見ながらスケジュールを調整し、品質を確保します。
Q
防水工事中に臭いがすることはありますか?
A
防水工事では、使用する材料によって臭いが発生することがあります。特に溶剤系の材料を使うと匂いが強くなることがあります。臭いについて気になる場合はご相談の上、水性材料を選べば臭いは抑えられます。工事中は換気をしっかり行い、匂いがこもらないようにしましょう。
陸屋根の防水費用についてまとめ
ここまで、陸屋根の防水費用について解説してきました。
この記事の要点は、以下のとおりです。
- 陸屋根の防水工事の種類:ウレタン防水、FRP防水、アスファルト防水、シート防水
- 費用相場は、3,000~10,000円/㎡
- 費用を抑えるコツ:複数の業者から見積もりを取る、補助金・助成金の活用、火災保険の適用、防水工事の依頼時期を選ぶ
- 防水工事DIYは可能だが、専門知識・技術が必要で、雨漏りなどのトラブルが発生するリスクがある
- 防水工事業者の選び方:複数社から見積もりを取る、施工実績を確認する、保証内容を確認する
- 防水効果を長持ちさせる方法:定期的な点検、排水口の清掃、トップコートの塗り替え
上記の費用情報はあくまで目安であり、実際の費用や内容は状況によって異なる場合があります。
防水工事の費用を把握しておけば、いざ工事を行う際の指針となります。
業者を選ぶ際は、必ず複数の業者から見積もりを取り、実績や保証内容などを比較検討するようにしましょう。
\あわせて読みたいおすすめ記事/